広井内科医院

つながりと新しい息吹

広井内科医院の計画は、長年地域に貢献し続けている診療所を道路をはさんだ土地に建て替えるプロジェクトでした。医師として多くの患者に慕われている現院長から代替わりするタイミングに合わせ、積み上げてきた信頼と伝統を活かしながら最新医療の知見を活かせる空間への衣替えが求められました。

診察空間の機能性、拡張性を高めるとともに、落ち着いて穏やかな雰囲気にすることで治療に対する安心感、信頼感が高まるよう心がけています。

アプローチと外観について

来院患者のために十分な駐車場台数を確保するとともに、車路とは完全に分離させた歩行者専用通路によりバス利用の歩行者を安全にエントランスへと導いています。

建物の外観は、交通量の多い前面道路から目に留まりやすいよう大きく大胆な庇とレンガタイルの外壁を特徴としています。直線を主体としたシンプルで力強い意匠は、秩序と信頼の感覚を与え、ざらっとした風合いのレンガタイルが太陽光を受け時々刻々と色味が変化することにより清潔感と温かみの感覚を与えることを意図しています。

内部について

内部においても外部と調和した木目の色と質感が繰り返され、重厚でありながらも自然素材特有の安心感を与えるよう工夫しています。

特に待合室は、空間の印象を大きく左右する椅子に高い清掃性とスエード調の本物の質感を両立させた生地を選び、色の組み合わせとともに明るく華やいだ雰囲気となるようにしています。上部の吹き抜けからは、自然光が降り注ぎ、淡い白色の塗り壁を明るく照らしながら来訪者を優しく包み込むように計画しています。ここでも塗り壁の白さは、光の当たり方で微妙に表情を変えながらしっとりとした落ち着きをもたらしています。

診察室・処置室について

診察室は、待合からデザインの連続性を持たせながらも、医師による正確な診察を実現するために最適な空間レイアウト、素材感と配色、照明の演色性を第一に構成しています。特に患者動線、スタッフと医師の動線は入念に検討し、作業の無駄を減らし、医師が診察に注力しやすいよう工夫しました。

院長室について

院長室はエントランスから医院全体を通り抜け2階へ上った一番奥に位置しています。院長室前の廊下からは下部の吹き抜け越しに待合の様子を見ることができます。正面に広がる大きな窓からは旧医院の建物を初め周囲の家々を望むことができます。地域医療に貢献し続けてきた広井内科医院が、地域全体へのまなざしを持ち続けていることを表現しています。

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